白 椿 あとがき
白 椿 最終回を終えて
この話は主人公の久乃か礼郷か、どちらの思いを書こうか定めることができなくて、いえ、私の場合いつもそうなんですが男女の視点を行ったり来たりしています。
前半は礼郷から、後半は久乃からの視点を多くしようと考えてはいたのですが、結局はかなりごちゃまぜです。
この話では「時間」というものを書いてみたいという気持ちもあって、最後の「紅白椿」を書きたかったのですが、これは和史の回想なのに未来の話になってしまい、自分でもこれでよいのかどうか疑問なのですが、「白椿」はやはり過去の古い時代の話ではなくて現代の話で書きたかった。
そしてふたりを結婚という形にはしないと最初から決めてありました。いいえ、新しい男女の形などとは申しません。家とは、家族とは、さまざまな理由から愛し合いながらも結婚という形にならなかった久乃と礼郷。現代だからこそこういうこともあるのではと思って書きました。
「白椿」は「誕生日」と一時期同時連載でしたが、まったく違う話でも恋愛や結婚には家族や世間が関わってくるということを書いたこのふたつの話が私にとっては同じ地平線上にあったようです。
最後になりましたが、連載中はたくさんの拍手やコメントをいただけてほんとうに励みになりました。ありがとうございました。
2009.06.22
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