副社長と私 あとがき
副社長とわたし 最終回を終えて
小さな会社で働いている田舎ねずみの瑞穂。ふつうに真面目に働いている、そんな瑞穂がある日突然東京へやってきて夢のような御曹司に会ってしまう。でもこの御曹司、なんだかわかりにくくて……。
そんな「副社長とわたし」は今まで痛い話書きの私がどちらかと言えばシリアスコメディというものに挑戦してみたものですが、最後に瑞穂が総務課長にいじめられるところなど、やはり痛くしてしまったところもあって結果的にはコメディにはなっていなかったと思います。
コメディってむずかしい。書いていてつくづくそう思いました。コメディのつもりで孝一郎が自ら総務課長に降格するというひねり技も最初に決めてあったのですが、連載開始直後に社長のつもりだった孝一郎を副社長に変えたり、最後は総務課長と、ホントに彼は「降格」の人です。この人に一番苦労させられたかな。
瑞穂についてはできるだけ自分を卑下しない女性にしたかったです。ありふれた境遇で、こちこちの真面目人間というほどでもないけれどそれなりに働いている。瑞穂のいいところは素直なところでしょうか。孝一郎相手では知らないうちに意地っ張りになってしまうようですが。
そして孝一郎ですが、じつは孝一郎が腹黒だなんて私にはそんな気は全くなかったのです。でも、彼の最初の「ねずみ」発言から彼には何かある、腹黒だ、と思われてしまったようで、はからずも読者の皆様に孝一郎が誤解されてしまったようで正直あわてました。私も孝一郎は誤解されやすい人だとは思っていたのですが、これほどとは。
私はねずみという言葉をイソップ童話の「まち(都会)のねずみといなかのねずみ」のつもりで出したのですが、ねずみという言葉が悪かったのか、表向きはつかみどころのない孝一郎の性格が悪かったのか、一時は孝一郎は瑞穂を見下しているんじゃないかとか、瑞穂を泣かせたら許さないといったコメントをいただいてしまうほどすっかり悪い人でした。
その後終盤には直情馬鹿の評をいただきましたが、やっぱり男性には恋人に直情、誠実でいてもらいたいですよね。
そしてこの作はアルファポリス様の恋愛小説大賞へ初めてエントリーした作品でした。大賞期間中にはたくさんの投票とアクセスをいただきありがとうございました。連載を始めたまではよかったものの、その後体力的にどうにも書けなくなってしまってそれは如実に中盤のもたつきに現れることになり、恋愛小説大賞へのエントリーもためらっていたのですが、思い切って参加してそのおかげで
二月になってやっとエンジンをかけ直すことができたように思えます。大賞期間中の後半には投票もさることながらアクセスポイントもたくさんいただいていたようで、これは私の勝手な解釈なのですが、そのおかげで順位を底上げできたのではないかと思っています。本当にありがとうございました。
内容に関しては反省すべき点は多々ありましたが、連載中にいただいたたくさんの拍手やメール、コメントでは私が予想していたよりも「瑞穂が好き!」と言っていただけることが多くて、それがとてもうれしかった。体力的にも書くのにしんどかった作品ですが、同時に楽しくもありました。瑞穂へ、孝一郎へ、そして私へのたくさんの応援ありがとうございました。
2010.03.16
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