窓に降る雪 あとがき


 窓に降る雪 最終回を終えて


 吉岡三生、14歳から21歳までの高宮雄一との出会いとその後。
 三生のストーリーはずっと私の心に住んでいてやっと小説のかたちにすることができました。
 もう何年も、いえ十数年も前に作った最初のストーリーは高校生の三生と年の離れた高宮とのロマンチックな恋愛でした。ストーリーも書く、というよりはイラストやメモで考えていただけでした。 今回この話を改めて小説という形で書き始めるにあたって必要に迫られて細かい設定を考えたのですが、苦しい設定は数々あれど高宮が20代で広告代理店の社長というのは最も苦しい設定でした。そんなことあるわけないだろ、と叫びながら書いていました。 それはともかく渋谷の町から三生を長野の別荘へ連れて行く……まあ、いちばんいいところ? から書き始めたわけで、そこへ至る過程を書きたかったことに違いはないのですが、ふたりが結ばれて終わり、というふうには出来なくなっていました。 そんなわけでいつのまにか高宮が結婚していたり……この設定がすんなり出てきたときには自分でも驚きました。私自身も大人になったということでしょうか。 当初のストーリーとは全く別の話になってしまいましたが三生の年齢設定のわりにかなり大人な内容と高宮が結婚してから以後のストーリー、そしてやはり最後の和解には苦労しました。 私は理屈でストーリーを説明していくタイプなので雰囲気でなんとなく、という書き方ができないのです。それに最初はふたりがまた雪の別荘に戻ってラストシーン、で書きあげていたのですが(今もこのシーンを変更したのは惜しいと思っている)三生の切なさをもうちょっと書きたいと思ったらこのラストになりました。

 また、高校生の三生が長野の別荘に行く前にT企画で高宮を待っていた2時間とその前後を書いた番外編「白い花」。これは主人公とはまた違った視点で書いたものですがこれを本編に組み込んで書くだけの力量が私には足りませんでした。別編としてお楽しみいただければ幸いです。

 2007年9月にサイトを立ち上げて短編「大きなカブ」を載せてはいましたが、私にとっては「窓に降る雪」が人生初めての第1作です。あまりにもつたない文章に赤面モノですがそれでもやっと最後まで掲載することができました。初めての小説で長編、連載などという暴挙をあえて続けられたのも読んで下さった皆様のおかげです。お礼を申し上げます。ありがとうございました。


2007.11.24

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