花のように笑え あとがき


 花のように笑え  最終回を終えて


 瀬奈にとっても聡にとってもつらく苦しい話でしたが「花のように笑え」もやっと最終回を迎えることが出来ました。
 まわりの状況にもてあそばれるような瀬奈の運命。それなのにたいした抵抗もできず、むしろ自分への厳しさから、他人へのやさしさから自分を身動きできないようにしてしまう瀬奈。 そんな瀬奈には他人のために無償で犠牲になることを悟っているのとは違うもどかしさがあります。
 東郷は悪い奴なのですが、ある意味とても正直。瀬奈はとてもいいコなのですが自分に正直でない。人のために遠慮して自分を犠牲にしてしまう。瀬奈の生い立ちや性格がそうさせているのですが、 瀬奈が現代に生きる女性ならば、そして聡にとっても瀬奈が自分自身に正直に、時にはわがままを通すこともできる人間になって欲しかった。そんな瀬奈を聡は最後には再び引き寄せることができたと感じていただけたらこんなにうれしいことはありません。

 そもそもこの話を書き始めた頃はじれじれで寸止めの、も〜っ!!というような話もいいんじゃないかと思っていました、ハイ。今となっては穴掘って地球のマグマに焼かれたい気持ちですが。
 聡にしても当初はやたらと強気で気まぐれっぽいオレ様でそれゆえに瀬奈を苦しめる、という男にするつもりだったのに聡がそうならなかったかわりに東郷が一手に悪い男を引き受けてくれたようで、我ながら嫌な男だなと思いながら書いていました。
 こんなストーリーでも所詮お話とひとくくりに片付けてしまう気はありませんが、やはり虚構、フィクションです。ありえないようなストーリーを書くという、いわば書き手のわがままにおつきあいくださり本当にありがとうございました。 最後まで書きあげることができた感謝と私の北海道という北の地への憧れを込めてお礼とさせていただきます。


2008.11.14

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